鼻が長い謎の深海魚「ゾウギンザメ」とは

目次

どんな生き物?

ゾウギンザメ

学名:Callorhinchus milii
分類:ギンザメ目ゾウギンザメ科

銀色の身体とゾウのように長い鼻が特徴的な魚。

鼻のような部分は「吻端(ふんたん)」と呼ばれ、微弱な電場を発しながらエサを探します。

何億年も前から姿を変えていないことから「生きた化石」とも呼ばれているそうです。

ゾウのように長い鼻

ゾウギンザメの特徴は、ゾウのように長い鼻です。

この鼻のような吻端ふんたん部を使って、砂底に潜む貝やカニなどのエサを探します。

学名の由来

ゾウギンザメの学名「Callorhinchus milii」は、以下の言葉を組み合わせたとされています。

  • “美しい”を意味する「kalos」
  • “鼻”を意味する「rhynghos」

吻端部は「ロレンチーニ器官」と呼ばれ、微弱な電流をキャッチする機能が備わっています。

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ロレンチーニ器官は、サメやエイの仲間にも備わっていますよ!

水中を羽ばたくように泳ぐ

ゾウギンザメの見た目は、長い鼻だけでなく翼のように大きな胸ビレも特徴的です。

大きな胸ビレを上下に動かして泳ぐ姿は、翼を広げて羽ばたいている鳥のように見えます。

少し調べてみたところ、大きな胸ビレはゾウギンザメの仲間でもある「ギンザメ目」の種に見られる特徴だそうです。

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海底付近にいる魚なので、大きなヒレで浮力を得ているのかな?

生きた化石と呼ばれている

進化速度が極めて遅いゾウギンザメは「生きた化石」と呼ばれています。

進化速度はシーラカンスより遅い!?

ワシントン大学医学部の研究チーム(2014年)にて、ゾウギンザメのDNA解析を実施。ほかの脊椎動物ゲノムと比較した結果、ゾウギンザメの進化速度はシーラカンスを含む脊椎動物より極めて遅いことが判明した。

シーラカンスより化石に近い?「ゾウギンザメ」のゲノム解読、米研究|AFP

数億年も前から姿を変えずに生きるゾウギンザメの研究は、今後の医療の発展につながることも期待されています。

飼育展示している水族館が少ない

ゾウギンザメを常設展示している水族館は、以下の2か所しかありません。

  • サンシャイン水族館
  • 海遊館

サンシャイン水族館は「2019年3月15日」に、日本で初めてゾウギンザメの飼育展示を開始しました。

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展示を開始したのは、意外に最近(数年前)でした。

海遊館も「2019年4月19日」からゾウギンザメの常設展示を開始しています。

2022年現在、飼育個体はメスの1匹のみです。

オスの個体が搬入されれば、繁殖・ふ化の取り組みが進むことも期待できます。

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飼育方法を把握し、環境に慣れさせるまで、飼育員さんは相当な苦労を重ねたそうですよ。

雑巾ザメではない!

ゾウギンザメを初めて見る人は、かなりの頻度で「雑巾(ぞうきん)ザメ」と読み間違えます。

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ゾウギンザメは、掃除が得意な魚じゃないですよ。

ゾウギンザメには、以下のような「名前の由来」があります。

“ゾウ”(象)の鼻ような吻端をもつ
“ギン”(銀)色の
“ザメ”(鮫)

サンシャイン水族館で国内初のふ化を確認

2020年1月27日に、サンシャイン水族館で国内初となるゾウギンザメのふ化が確認されました。

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翌日にもう1匹ふ化したので、合計2匹の赤ちゃんです。

ゾウギンザメの赤ちゃんは、2019年5月に産卵した卵から生まれました。

産卵した卵は合計18個ありましたが、ふ化に至ったのはたったの2個だそうです。

繁殖に向けての取り組み(サンシャイン水族館)
  • 卵の飼育水温はゾウギンザメの生息地であるオーストラリア南部の水温を参考
  • 「12℃・15℃」の2パターンに分けてリスク分散および発育速度を比較
  • 2020年1月27日に12℃で管理していた卵が孵化(計5個の孵化を確認)

いきものディスカバリー通信vol.9「謎の多い魚・ゾウギンザメ」|PR TIMES

「ふ化に適した水温」や「ふ化までの期間」など、取り組みから把握できたデータは飼育研究の大きな成果だと思います。

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未だに謎の多いゾウギンザメの生態が、少しずつでも解明されていくことを期待したいです。

ゾウギンザメの卵

ゾウギンザメのふ化が確認された「2020年1月27日」に撮影した写真。

ゾウギンザメが、お腹に卵を抱えていました。

卵の大きさは20cmほどで、少しだけ重たそうに見えます。

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ゾウギンザメはバタバタと泳ぐから「ポロッ」って落としちゃうんじゃないかと心配でした(笑)

写真をよく見ると、卵が2つ重なっています。

1つの卵から1匹だけ生まれるそうなので、無事に2匹の赤ちゃんが生まれてほしいです。

ゾウギンザメの赤ちゃん|体長15cmほど

ゾウギンザメの赤ちゃんは、ふ化時点の体長が推定15cm程度だそうです。

ちなみに成魚は、70cmほどの大きさに成長します。

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小さな赤ちゃんでも、見た目は大人のゾウギンザメとそっくりです。

赤ちゃんはバックヤードで飼育中

ゾウギンザメの赤ちゃんはバックヤードで飼育されており、一般公開されていません。

公開が開始される時期については、サンシャイン水族館の公式サイトにて最新情報をチェックしましょう。

また、サンシャイン水族館の公式SNS(X)では、ゾウギンザメの飼育状況を随時公開しています。

水族館でゾウギンザメを見てみよう!

少しだけゾウギンザメに興味が湧きましたか?

ゾウギンザメは、サンシャイン水族館と海遊館の2か所で飼育展示されています。

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「この水族館にもいたよ!」といった情報があれば、記事下のコメントにて教えてください!

最後に|じっくり観察してみよう!

サンシャイン水族館で撮影したゾウギンザメが、偶然にも卵を抱えていました。

さらには、その当日と翌日に「国内初のふ化が確認される」という偶然も重なり、なんだかラッキーでした。

ゾウギンザメには、数億年前から姿を変えずに生きる深海魚としての魅力があります。

  • 長い鼻や大きなヒレの個性的な見た目
  • 日本国内では「たった2か所」でしか見られない

水族館でゾウギンザメを見つけたときは、ぜひじっくりと観察してみてください!

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