元システムエンジニアの僕は、水族館に行くとついつい考えてしまうことがあります。
おぉ!デジタル化してんじゃん。
水族館には、魅力的な生き物がたくさんいます。
その魅力を求めて、多くの人が水族館へ足を運んでいます。
しかし、水族館で注目すべき要素は、生き物だけではありません。
現代の水族館では、お客さんに最高の体験を提供するため、アッと驚くようなテクノロジーを活用しています。
そこで今回は、元システムエンジニアの観点で「水族館×テクノロジー」を考えてみました。
夢のような水族館を想像する
子どもの頃に「こんな水族館があったらいいな」なんて考えたことはありませんか?
僕は大人になったいまでも考えています。
- 水槽で泳ぐ生き物の情報をもっと「詳しく・楽しく」知る?
- 水族館ではありえないような生き物の姿を再現する?
- まるで海の中にいるような没入感を味わう?
さまざまな最新技術を活用することで、水族館の楽しみ方がもっと広がるはずです。
なんて夢のような水族館を、子どものように想像してみました。
情報提供の技術|生き物を楽しく知る
水族館を楽しむ秘訣は、水槽で泳ぐ生き物たちに興味・関心をもつことです。
しかし、多くのお客さんは、アナログの解説パネルには注目していない傾向にあります。
平面的な文字や画像・映像に代わる手段で、生き物の情報を提供すべきなのかもしれません。
- 生き物の情報を水槽のガラス面に表示する
- ARアプリで生き物と情報をスマホ画面に重ねて表示する
- ゲームやクイズ形式で子どもの関心を高める
デジタルの情報を現実世界に重ねる技術です。たとえば、カメラ機能付きのARアプリを使用すると、カメラを向けた場所の情報が画面に重ねて表示されます。
個人的には、水槽のガラス面に情報やアニメーションを表示する技術があれば楽しそうだなと思います。
水槽を覗きながら目線をズラさずに名前や特徴などの情報を確認できたり…
アニメーションに水槽内の生き物が反応する様子を楽しんだり…
そんな効果を「最新技術で実現できればいいな」と感じています。
知ってもらうために見せるのではなく、見せることで知るきっかけをつくりたい。
ロボットの技術|生き物を創造する
まるで生き物のようなロボットが、水族館で活躍するのも楽しいと思います。
- 水族館では見られないような生き物を疑似体験したいから
- 水族館で暮らす生き物たちのサポートを期待できるから
飼育が困難な深海生物や凶暴なサメは、水族館ではめったに見られません。
運よく搬入されても、公開されるのはたったの数日だけ。界隈ではひと騒ぎが起きるほど希少なことです。
そこで、自律型のロボットを活用すれば、生き物の生態を疑似体験できます。
飼育が困難な生き物を、わざわざ確保する必要もありません。
また、水族館で暮らす生き物たちとの交流相手として活躍できるかもしれません。
「生き物が寂しそう」って心配するお客さんもいるからね…
ロボットがより自然な姿で生き物たちとふれあえば、ストレス軽減につながり、より魅力的な姿を見られるはずです。
お客さんがめずらしい生き物の知見を深められるだけでなく、水族館で暮らす「仲間」としての役割も期待できます。
言語処理の技術|生き物の感情を理解する
生き物たちの発する声や音を「自然言語(人間が理解できる言葉)」に変換する技術を実現してほしいです。
僕は「生き物とコミュニケーションをとりたい!」と日頃から思っています。
人間の言葉で会話できない生き物たちとは、簡単にはコミュニケーションできません。
もし、生き物たちの鳴き声から意思や感情を理解できれば、ふれあいがもっと楽しくなるはずです。
ペットの犬の気持ちがわかる「バウリンガル」のようなアプリが誕生してほしいな。
仮想現実の技術|生き物の世界に入りこむ
水族館では、水槽の外から生き物たちを眺めるのが一般的です。
海中散歩をしているかのように、水の中の世界を体感できたら楽しいなと思います。
そこで、バーチャルリアリティ(VR)の出番です。
完全にデジタルの世界に没入する技術です。ヘッドセットを装着することで、詳細なグラフィックやサウンドによる仮想の風景を探索できます。
VRの技術を活用することで、仮想的な水中の環境を再現できます。
- 足を踏み入れることが困難な深海の世界
- カラフルに彩られたサンゴ礁の海
- 山奥にひっそりと流れる清流の河川
ヘッドセットを使用すれば、自分自身が本当に水中の世界に入り込んだかのような没入感を味わえます。
もちろんヘッドセットがなくても、3D映像やプロジェクションマッピングと組み合わせることで、水の世界を疑似体験できるかもしれません。
水族館テクノロジーの歴史
水族館のテクノロジーは、急速な変化を見せています。
かつての水族館は、静的な展示とアナログの情報が主流でした。
しかし現代では、最新のデジタルソリューションで補完されつつあります。
ここからは過去から現在にかけて、水族館テクノロジーの変化を探ってみます。
従来|静的な展示
従来の水族館は、水槽やテラリウムのような静的な展示が一般的でした。
大小さまざまな水槽が並ぶ従来の水槽展示は、現代でも主流であり人気があります。
しかし、静的な展示では、水槽を基本的に一方向または遠くから観察するだけです。
何世代にもわたって馴染みのある展示ではありますが、ただ眺めるだけでは面白みに欠けます。
また、生き物の生態を詳しく知るためには、アナログな解説パネルやスタッフの誘導に頼らざるを得ませんでした。
変化①|体験型のアクティビティ
現代における水族館は、生き物を展示するだけの場所ではありません。
多くの水族館では、来館者の体験を向上させるためのさまざまな工夫を施しています。
教育的なツアーやエサやり体験、水槽内へのダイビングなど、アクティビティの種類も多種多様です。
これらの体験型アクティビティにより、水生環境について学び、その美しさを理解するきっかけが生まれます。
変化②|デジタルソリューションの登場
デジタルソリューションの登場により、水族館での体験も進歩しました。
とくにディスプレイ解説やタッチスクリーンは、いまでは水族館に欠かせない要素です。
高解像度のディスプレイは、魚やサンゴの鮮明な姿を映しだします。
タッチスクリーンは、生き物の行動や生息地などの情報をゲームやクイズ形式で遊ぶように楽しく提供できます。
まるで専門家に質問するかのように、観察している生き物をより深く理解できますよ。
変化③|ロボット工学とセンサーの導入
ロボット工学とセンサーの導入は、水族館の新たな可能性を切り開きました。
ロボット工学を代表する「水中ビークル」は、来館者の操作により、展示されている生き物を間近で観察できます。
さらには「ロボシャーク」のようなロボットも開発されており、展示と組み合わせることで水中の環境を身近に感じられるでしょう。
ロボットによるシステムの自動化は、人件費を最小限に抑え、エネルギーの節約効果も期待できます。
水温やpHなどの水中環境を監視するセンサーは、水族館で暮らす生き物の行動観察や研究・保護に欠かせません。
さらに、センサーによる追跡システムでは、小さな生き物たちの行動を監視し、個々の状態をより深く把握できるかもしれません。
ロボットやセンサーは、水族館の安全かつ効率的な運営に役立っています。
革新的な技術が水族館の未来を変える
近年、水族館の技術は大きく進歩しました。
生き物がいる単純で小さなガラス水槽から、さまざまな動植物が交わる展示へ。
また、現代の水族館では、高解像度カメラやライティングなどの技術を取り入れ、来館者がより没入できるような体験を提供しています。
そして、ARやVRといった最新技術を活用する近代的な水族館では、さらに大きな変化を迎えているようです。
仮想現実(VR)|海洋生物の世界を体感する
仮想現実(VR)は、もっともエキサイティングな水族館の最新技術です。
水族館での楽しみといえば、生き物が泳ぐ水槽を覗きこむこと。
VRのヘッドセットを装着すれば、海洋生物が暮らすデジタルの世界に入り込めます。
水族館でVRを活用することには、さまざまなメリットがあります。
- 来館者が水槽内の生き物をよりよく視覚化・理解できる
- 来館者により魅力的でインタラクティブな体験を提供できる
- 体の不自由な人が水族館をより利用しやすくなる
まさにヘッドセットを装着して、水槽内を探索するような感覚です。
通常ではアクセスできない深海や極寒の海を探索できるかも?
VRの技術は、まだ発展途上の段階です。
しかし、ユニークな特性を活かした新しい技術開発は、着実に進んでいます。
音声対応デバイス|スマートスピーカーの可能性
スマートスピーカーのような音声対応デバイスも、近代的な水族館で活用されはじめています。
鴨川シーワールドでは、クジラたちがコミュニケーションで使うエコーロケーションの様子を紹介していました。
- 音声に反応して生き物の情報を表示する
- 来館者の導線をコントロール(誘導)する
- クジラのコミュニケーション能力を可視化する(エコーロケーション)
スマートスピーカーとの連携は、水族館にさまざまなメリットを提供します。
たとえば、来館者の質問にスムーズに答えられます。
生き物を大切にすることや保全の必要性を、効率的に理解してもらえるでしょう。
遠足中の子どもたちに対応するピーク時のような、スタッフが個別の質問に対応できない状況で役立つ可能性もあります。
ロボットフィッシュ|第二の水族館スタッフ
ロボットフィッシュは、水族館の来館者にもスタッフにも価値のある技術です。
- より自然な形で生き物とふれあえること
- 安全テストや環境変化のモニタリングに役立つこと
ロボットフィッシュは、本物の魚の行動を模倣し、水槽内を自律的に泳ぎ回るように設計されます。
群れをつくったりエサを食べたりと、本物そっくりの行動もプログラムが可能です。
さらに、高度なセンサーを搭載すれば、周囲の環境にリアルタイムで反応できます。
来館者にリアルな生体観察を提供するだけでなく、省エネや水質のモニタリングにも役立つでしょう。
水族館の最新技術に注目するのも面白い
最新技術を活用することは、まさに水族館の新たな価値を生み出すイノベーション(技術革新)です。
より没入感のある体験を提供し、生き物に詳しくなり、なによりも楽しめます。
だからこそ、さらに水族館を楽しむためには、取り入れている技術に注目すべきです。
今回紹介した技術は、水族館に導入されているほんの一部にすぎません。
顔認識や自律型ナビゲーションなどの人工知能(AI)によって、よりパーソナライズされた体験が実現されます。
ロボットからバーチャルリアリティまで、最新技術が水族館の未来を変えつつあることは明らかです。
ぜひ、水族館のテクノロジーにも注目しながら、アッと驚く世界を探検してみましょう。
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